大正は門司港が最もきらびやかに栄えた時代です。
わずか15年という短い時代でしたが、門司港に残したそのインパクトは計り知れません。

明治20年以前には小さい一漁村にすぎなかった門司港が産業・軍事の一大都市への道を辿る事が出来たのは明治22年の特別輸出港に指定されたことから始まります。貿易港としての地位を確立した門司港は、中国大陸が近いこともあり、日清戦争、日露戦争における軍需品や兵士たちを送り出す重要な港となり、米、兵器、軍服などの品物を扱う商業が目覚ましく発展していきました。大正三年には第一次世界大戦の大戦景気に湧きたち、その後欧州航路の寄港地にもなり、港は莫大な利益を得ていきます。大正5年には外国貿易出入港数で神戸・横浜を抑え、全国一の大港湾となりました。ロンドン・ハンブルク・ロサンゼルス・シアトル・ブエノスアイレス・シンガポール・ダバオなど世界の港から異国の香りを乗せた貨客船が毎日のように波止場に横付けし、中国の五大港、大連・天津・青島・上海・広東とは定期航路で結ばれ、街では粋なマドロスたちが闊歩する、そんな異国情緒あふれる光景が見られたのもこの時代でした。このように大陸貿易や大陸航路・欧州航路の客船などで賑わったこの時代、門司港には異国の文化がリアルタイムに流れ込み、大正モダンといったハイカラでおしゃれな文化が育まれていきます。路面電車や人力車が行き交う街には、ミルクホールや洋食店などのカフェーやジャズといった最先端のトレンドを楽しむ、「耳かくし(現代のボブ)」といわれる髪型をしたモダンガール、黒ぶちのロイドめがねをかけたモダンボーイなど西洋のファッションを取り入れた、今までの価値観にとらわれない自由な生き方を表現する人々が現れ始めたのでした。明治の文明開化以来、大正デモクラシーを経て、本当の意味での大衆文化が花開いたのが、まさにこの時代だったのです。また、門司港の花街・料亭文化も最盛期を迎え、清滝界隈には10軒以上もの料亭が林立し、 芸妓衆がおよそ200人、置屋も20軒以上存在していました。その中でも出光興産創業者 出光佐三がひいきにした「料亭 三宜楼」や門司港を極めて好んだ高松宮宣仁親王(昭和天皇の弟)が定宿としていた料亭三笠などは、当時の門司港の富と権力の象徴として今でも人々の記憶に残っています。また「一丁ロンドン」と呼ばれた、ガス灯の備え付けられた本町通りには、銀行・商社・新聞社などの洋館がずらりと立ち並び、まるでロンドンの街並を思わせるようでした。

このように門司港は大正から昭和初期にかけて栄華を極めました。
今もここ門司港には大正という華やかな時代を生き抜き、様々な想いを見守ってきた建物たちが残っています。国の重要文化財「JR門司港駅舎(大正3年)」、アインシュタイン博士が宿泊した「旧門司三井倶楽部(大正10年)」、大陸・欧州航路の起点「旧大阪商船ビル(大正6年)」などがその代表です。

大正から数え100年。 門司港は今、大正浪漫薫る街「門司港レトロ」として新たな時代を歩んでいます。 すさまじいスピードで移ろいゆく時代の中で、少し立ち止まり遠い昔に想いを馳せ、 100年の記憶のかけらを探してみるのも良いのではないでしょうか。

門司港レトロ 大正浪漫100年祭 オープニングイベント

大正浪漫100年祭のオープニングイベントとして、大正琴やジャズコンサートなど、門司港駅前をメイン会場に様々なイベントが行なわれます

日時:2011年4月3日(日)

大正浪漫100年マンスイベント

大正100年を記念し、9月の毎週末、門司港駅前やハーバーデッキなどで、大正琴・大正ジャズ、バナナの叩き売り、着物イベントなど様々なイベントを開催予定。 アインシュタインや竹久夢二などの展示会も同時開催され、 秋の門司港は大正一色に染まります。

日時:2011年9月の1ヶ月間

courtesy of the Albert Einstein Archives, The Hebrew University of Jerusalem Israel

「アインシュタインLOVE」特別展

大正時代を代表する科学者アインシュタインは門司港に長く滞在します。イスラエルのヘブライ大学が所有するアインシュタインに関する展示品や実写映像などで構成される特別展「アインシュタインLOVE」を開催し、アインシュタインと門司港の関わりを辿ります。

日時:2011年9月3日(土)〜10月10日(月)

「竹久夢二と中原淳一の世界」展示会

大正ロマンを代表する画家竹久夢二や大正生まれのイラストレーター中原淳一の作品など、多くの女性をとりこにした二人の作家の作品を多数展示します。

日時:2011年9月23日(金)〜10月16日(日)

大正時代の映画上映会

大正時代の主流であった無声映画の上映会を開催。当時の映画に触れ、また活動弁士を招いて本格的な上映会も行う予定です。

日時:2011年9月頃開催予定。

きもの蚤の市やきものショー「大門司港博覧祭」

着物の蚤の市や大正時代の着物の展示、きもの早着替えショーなど、きもの文化を紹介する様々なイベントを開催します。

日時:2011年10月30日(日) 。

2010年に行われた大門司港博覧祭の様子

門司港レトロ 大正浪漫100年祭 フィナーレ

JR門司港駅前の大イベント「門司港レトロカウントダウン」を大晦日に開催。ジャズのコンサートや年越しソバの販売など様々な催しを行い、カウントダウンの大合唱が終わると、大正100年祭はフィナーレを迎え、新年を祝う汽笛が関門海峡一帯に響き渡ります。

日時:2011年12月31日 大晦日

大正風のきもの・衣装でお出迎え

期間中レトロ地区の観光施設やお土産・飲食店などでは、
大正時代の雰囲気のきものや法被姿で皆さまをお出迎えします。

きもの・衣装レンタルサービス

矢絣やモボ・モガ風のドレスなどを着て門司港レトロを歩いてみませんか。期間中の土日祝日に、きものを手ごろなお値段でレンタルできる「きものレンタルステーション」がオープンします。
※着物をレンタルされた方、着物を着てきた方にはお特な大正浪漫パスポート100を進呈しています。

日時:2011年 4/3〜12/25の土・日・祝日

場所:JR九州本社ビル1F 

料金:1回 1,000円

大正時代の復刻グルメ

大正時代に、門司港ではやったコロッケやカツレツ、ハヤシライス、ドライカレーなど、
復刻メニューがレトロ地区の飲食店で楽しめます。
詳しくは→門司港復刻グルメガイド

大正サクラビール・お土産品の販売

大正時代に門司で造られていた「サクラビール」の復刻版が門司港レトロビール(株)より期間限定で発売されます。(門司港地ビール)サッポロビールの協力のもと、当時の製法を基に再現した大正の味が楽しめます。また、ブランデーベースのカクテル「デンキブラン」の他、竹下夢二などの大正ロマンを感じさせるお土産品なども販売します。

期間:2011年 4/3〜12/31

大正まちあるきガイドツアー

大正時代に築造された門司港レトロを代表する建物の特徴や当時の様子などを詳しく紹介します。また、関門海峡の絶景を楽しみながら当時の海岸線沿いを歩きます。

コース:門司港駅〜旧門司三井倶楽部~旧大阪商船~大連通り(関門海峡の眺望)~関門海峡ミュージアム(大正時代の空間を再現した海峡レトロ通り

日程:2011年4/3〜 日・祝日(年末年始を除く)

時間:13:30~  約1時間 門司港駅観光案内所前集合

料金:無料

アインシュタインが見た門司港ワンコインバスツアー

大正11年12月に九州を訪れたアインシュタイン夫妻は、日本で最も長い時間を門司港の地で過ごしました。バイオリンを披露したYMCA跡や旧門司三井倶楽部など、門司港で過ごした思い出の場所をバスでご案内します。

コース:門司港ホテル〜YMCA跡~百年長屋~旧門司三井倶楽部跡~関門海峡ミュージアム(YMCAホール)~旧門司三井倶楽部(アインシュタインメモリアルルーム)~門司港ホテル

日程:2011年4/3〜12/31の毎週水曜日

時間:9:30~  約2時間 

料金:500円 要予約

お問合せ: 門司港ホテル 093-321-1111

明治・大正時代から続くものづくりワンコインバスツアー(大里産業バスツアー

明治・大正時代に鈴木商店の資本により創業を開始した三つの工場に伝わるものづくりの現場とサッポロビールの麦酒の博物館をバスで巡ります。

コース:門司港ホテル〜門司麦酒煉瓦館~関門製糖・ニッカウヰスキー・神鋼メタルプロダクツの三つの工場のうちどれか(週替り)~門司港ホテル

日程:2011年9月〜11月の毎週火曜日

時間:9:30~  約2時間 

料金:500円 要予約

お問合せ: 門司港ホテル 093-321-1111